面会交流と養育費について

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養育費と面会交流の相談をしている団体の資料を読んでいて感じたコメントです。厚生労働省の委託事業を受けている団体(多分天下り先)がこんな認識でいいのでしょうか?(少し長文です)

当事者の皆さまの声をお聞かせください。寄せられた声をweb上にまとめて、関心のある議員にメールして、事情を説明します。詳細はこちらのページからどうぞ。

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8月3日のふぁぼセミナーで「養育費と面会交流」の話題を取り上げました。そこで、養育費について調べていたところ、厚生労働省から委託を受けた「養育費相談支援センター」という公益社団法人を見つけました。そこの資料のQ&Aに国の考え方が反映されていると思われる個所がありました(こちら)。


Q9.「子どもと会わせずに、養育費もらえますか?」

A9. 「養育費と子どもに会うこと(「面会交流」と呼んでいます)とは別の問題です。面会交流を実施しなくても養育費を請求することはできます。 しかし、子どもに会うことは養育費を支払う励みになることでしょう」


子どもへの虐待など特段の事情があれば別ですが、そういう記載もなく、はっきり

・養育費と面会交流は別の問題
・面会しなくても請求可能

と言い切ってます。これでは、面会交流しなくても、無条件に養育費請求可能という印象を質問者に与えてしまいます。

毎日毎日子のことを想い面会交流を一日千秋の思いで待ち望んでいる親に対して、「励みになる」程度としてしか捉えていません。

あまりにも別居親の心情を軽視した心ない発言だと思います。子供に会えない親をバカにした発言と思いませんか?別居親の人権侵害にも当たるのではと思います。

厚生省の養育費関連の委託事業を行なっている機関にはこの程度の認識しかないのです。しかも、養育費の支払いは義務化の方向に進んでいますが、面会交流は置き去りです。

一方では、児童福祉法の一部改正に伴い(今年5月27日衆議院にて可決)、子どもの権利条約に則って子供は養育されると明記され、子どもが権利の主体であると位置付けられました。子どもの権利条約には別居親との定期的直接的交流の権利(9条3項)を日本国は尊重すると謳われています。

従って、A9に対する回答すなわち「面会交流しなくても養育費の請求はできます」は、第9条3項で認められた権利を尊重していないことになります。国がこんな回答でいいのでしょうか?衆議院での議論に矛盾していませんか?

子どもの権利条約は国際条約です。
国際条約は、誠実に遵守すると日本国憲法第98条の2に規定されています。

Q9では、面会交流と養育費は別物であると言い切ってますが、このような考えに立脚すると、優先するのはやはり養育費の支払いでしょう。理由は、明日の食料の調達にも関わるからです。命に関わります。面会交流は、直接的には命に関わりません(もちろん心身に重大な影響は出ますけど)。だから養育費と面会交流は別物という議論を先行させてはいけないと思います。

養育費と面会交流は別問題 – 皆さん同意できますか??

私は養育費と面会交流は、セットでお願いするべきものと思っています。そうしないと別居親には何の権利も担保されず単なるATMと化し、子どもの健全な養育にも影響が出ると思います。でも、「面会交流せずに、単なるATMとして養育費のみ支払え」というのが、この国の考え方です。こんな時代遅れな考えをアンサーとしてサイトに載せるなど異常だと思いませんか?男女同権というなら、父親にも面会交流の権利を与えるべき。

日本の親権制度は諸外国に比べ、明らかに異質です。国立国会図書館が作成した興味深い資料を引用します。米国、カナダでは、親であっても子どもを連れ去ったら、重罪(実施誘拐罪)にあたると明確です(実施誘拐罪の適用:在モントリオール日本国総領事館)。面会交流させなくても養育費は請求可能とする日本と子どもを連れ去ったら刑法で逮捕されるとするカナダ政府。両国の対応の違いが浮き彫りです。言うまでもなく、カナダ政府のような対応をする国の方が多数です。この資料では、面会交流実行の強制手段、養育費支払いの強制手段とセットで論じています。養育費と面会交流はセット論なのです。にもかかわらず、養育費と面会交流は別物と言ってはばからない国の機関。明らかにどうかしている。

ふぁぼの参考資料のページにも関連資料を掲載しています。

皆さまの声で、現状を変えていきましょう。こちらからご意見などお寄せ下さい。

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