子どもの意思表明権認めなかった日本の司法

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以下のブログの初投稿は、2015年11月6日です。その後、2016年5月27日に、衆議院において「児童福祉法の一部を改正する法律案」が可決され。「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育される」つまり、子どもが権利の主体であると明確に法律で認められました。

そもそも児童の権利条約は、国際条約です。国際条約は誠実に遵守することと日本国憲法第98条2で明確に定められています。今回の児童福祉法改正案と共に、児童の権利条約に即して子どもの養育が必要であることが決定的になりました。

ところが、以下に示すように、札幌高裁、最高裁は、児童の権利条約及び上記改正案で認められた「子どもの意思表明権」を明確に侵害する決定をしました。裁判所自ら法律違反しています。

このブログについて取材もお受けしています(英語対応可)。こちらより「取材」の件名で問い合わせ下さい。

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NPO法人「親子の絆を再生しよう」(愛称:チームふぁぼ)代表です。

今日は、「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」で明確に保障されている子どもの意思表明権について実際に起こったことを書きます。またもや「裁判所の横暴」といってよいでしょう。
こんな運用をしていて、日本の裁判所本当に信頼に足るものなのかと誰だって疑問を持つと思います。すでに室蘭家裁の作成した隠ぺい報告書と調査官の恫喝については、こちらに書いていますが、今度は高裁と最高裁の対応です。ちょっと許されないですね。国民のみなさん、裁判所のこんなインチキ看過できますか?安保法制は注目を浴びましたが、まだ一般的には認知されていない司法の横暴が他にもあるんです。まずは、子どもの権利条約についての復習からいきましょう。

1.子どもの権利条約と日本国憲法

子どもの権利条約についての概略はここを参照願います。子どもの権利条約は日本国では1994年5月22日に効力が発生し現在に至っています。とても広範囲に子どもの権利を守るもので、ここでは全部書ききれませんが、子供連れ去りの視点からとても重要と思うのは、9条と12条です。

・9条:児童が父母から分離されない事及び児童が父母と定期的に友好的に接する権利を尊重する
・12条:意思形成能力のある子どもの意思表明については「児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」

と明確に規定しています。ここで重要なのは、

自己に影響を及ぼすあらゆる司法及び行政上の手続きにおいて というところと

直接若しくは適当な団体を通して意見を聴取される機会を与えられる

ということです。子どもの権利についてはこのように完全に規定されていて言い逃れできません。

子どもの権利条約は国際条約です。国際条約については日本国憲法98条の2は次のように定めています。「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。 」これもこのとおりです。誠実に遵守しなかったら憲法違反と非難されても仕方ありません。

以上で準備が完了しました。次に実際の司法の運用を見てみます。

2.子どもの権利条約を無視した札幌高等裁判所

私の長男(当時中学2年生14歳)は、本人の意思に反して室蘭の家裁により子どもの代理人制度に基づいて強制的に裁判に参加させられました。これにより次のことが言えます。

【事実1】室蘭の裁判所は私の長男を意思形成能力のある児童として認定した。

さらに長男は裁判において自分の意見を主張したいと思ったので、札幌高等裁判所の佐藤道明裁判長に直接直筆の手紙を送りました。息子は裁判に参加させられており、また国際条約である子どもの権利条約によりあらゆる事項に関して直接に意見を表明する機会を与えられるとなっていますので、私の長男には自己の意見を表明する権利があり、裁判所はそれに誠実に従う義務があります。それに反したら明確に日本国憲法98条違反です。

ところが札幌高裁の佐藤道明裁判長の下した判断は以下の赤線の通り、「未成年者の意思を確認する必要もない」とする驚くべき内容でした。子どもの意思表明をについては国際条約てその手続きが明確にされているのに、「この手紙は父親が書かせたものである」と一方的に決めつけ、自分の一存で国際条約しいては日本国憲法に違反する決定を出しました。従って、札幌高裁佐藤道明裁判長は、国際条約及び日本国憲法で定める手続きに沿った決定をしたとは言えない。また平成28年5月27日、衆議院で可決された児童福祉法等の一部を改正する法律案」の第一条「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること」と明記されているが、それに従ったとも言えない。

従って札幌高裁の佐藤道明裁判長は、国際条約、日本国憲法第98条及び児童福祉法に違反する決定をしました。この裁判官他にも色々問題起こしているようなので、皆さん注意して新聞・テレビなどでこの人物監視しておきましょう。裁判官は必ずしも善人ではありません。

言うまでもありませんが、私の長男はこの佐藤道明という裁判官に激怒しています。裁判に強制的に参加させておいて、意思表明を求めたのにその機会を与えなかったのだから当然でしょう。裁判所はどこまで無責任なんでしょう?

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衆議院でも「児童福祉法の一部改正」が成立し、児童の意思表明権が保障されている児童の権利条約に則って児童は適切に養育されると定められているのに「未成年者の意思を確認する必要もない」とした無知な札幌高裁裁判長 佐藤道明

 

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裁判長裁判官 佐藤道明

この中で極めて悪質と思う箇所があります。それは、佐藤道明裁判長は、いろいろと私の長男について記載していますが、本人の意思を確認するには、本人に法廷で会って本人から直接事情を聴くということは十分できたはずです。しかもその機会は子どもの権利条約によると「子供に与えられている」のです。

ですが札幌高裁の佐藤道明裁判長は、国際条約で決められた通り子どもに意思表明の機会を与えることをせず独断的に「同未成年者の意思を確認する必要もない」としました。明らかな国際条約に対する違反行為です。

子どもの主張は信じられないという主張も成り立ちません。なぜなら【事実1】の通り、長男は「意思形成能力のある児童」として裁判に参加させられているからです。

子どもの権利条約を持ち出すまでもなく、嫌がっていた本人を無理やり裁判に利害関係参加人として参加させておきながら、いざ本人が発言したいという段階になった時に、子どもの権利条約12条を無視し、子どもに発言の機会を与えないというのは佐藤道明裁判長どういう神経をしているのでしょう?

3.最高裁判所の判断

チームふぁぼ代表は、この佐藤道明裁判長の判断にどうしても納得できなかったので、最高裁判所に特別抗告することにしました。周知の通り最高裁判所では事実の認定をするものではなく、憲法違反とか判例違反について審査するところです。私の考えをまとめると以下の様になります。

1.国際条約である子どもの権利条約で、子どもには意思表明の権利が与えられている

2.うちの長男は利害関係参加人として裁判に参加させられている

3.うちの長男は札幌高裁佐藤道明裁判長に自分の意思を表明したいと申し出た。

4.ところが、札幌高裁佐藤道明裁判長は、「子どもの意思を確認する必要もない」とし意思表明の機会を与えなかった。すなわち子どもの権利条約違反である。

5.子どもの権利条約違反は、国際条約違反である。

6.国際条約に違反することは、すなわち日本国憲法98条違反である。

7.したがって、札幌高裁の下した判断は、日本国憲法98条違反である。

という論理で、最高裁に札幌高裁の佐藤道明裁判長の決定は憲法違反であると訴えました。

ところが、最高裁の櫻井龍子裁判長裁判官ほかは「本件抗告の理由は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、特別抗告の事由に該当しない」と判断し、棄却しました。次の写真がその決定書です。

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児童の意思表明権は、国際条約である児童の権利条約で保障されている。日本国憲法98条2では、国際条約は誠実に遵守することと定められている。重大な憲法違反なのに、「単なる法令違反を主張もの」とした裁判長裁判官 櫻井龍子

あいた口がふさがらないとはこのことです。最高裁の櫻井龍子裁判長の下したこの判断にはとても納得できるものではありません。単なる法令違反を指摘したものでないことは上記より明らかでしょう。上述のとおり明確に憲法違反を指摘しています。論点のすり替えはいい加減にして欲しいです。ちなみにこの「単なる法令違反を指摘するもので。。。」と言うのは定型文のようで、何人も同じ表現で棄却されています。あまりにも国民を愚弄してますよ、櫻井龍子裁判長!

次の写真も、最高裁が「法令違反を指摘したものにすぎない」として棄却した調書(決定)です。親子の絆がこのように深く考慮されることもなく裁判所により断絶されていきます。

最高裁の決定書。別居親の悲痛かつ正当な主張を「単なる法令違反を指摘したものに過ぎない」として却下した。この表現により子どもとの絆が断ち切られた親が全国にどれだけいるだろうか。裁判所の無責任体質のせいで、何人の子供に会えない親が自殺したか。もはや裁判所による間接的な殺人。

ところで、日本国憲法77条には「最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。」という条文があります。最高裁は憲法77条に定められている権限を有するにも関わらず、子どもの人権条約を踏まえた最高裁としての規則制定を怠りました。子どもの権利条約が効力を発してから21年、これまで何の対応を取らなかった最高裁には、重大な問題があることは明らかです。さらに、最高裁は自らの怠慢を反省せず、「単なる法令違反を指摘するものである」と言い切るなど言語道断です。

先日確か大阪で、セクシャルハラスメント発言を受けた女性が最高裁で争っていました。たしか「結婚しないの?」とかいう言い方を問題にしていたように記憶していますが、この女性は勝訴しました。

セクハラ発言にはこんなに迅速に対応しておきながら、国際条約である子どもの権利条約には、21年間も満足に機能する規則を制定してないこの温度差。

つまるところ、個人的には、政府の注目度が高い事項には、自分たちのクビがかかっているので、迅速に対応するが、そうでないものは事実上放置。「子どもは国の宝である」とか「子供の福祉や利益が最優先」などと言う割には現実はそうは見えない。

子どもの権利条約を実現するために子どもの意見聴取のための規則の制定を求める責任がありますが、最高裁判所はこの責任を21年間も怠っています。子どもに意思表明の機会を与えなかった札幌高裁の判断に対して問題ありとはしませんでした。最高裁判所は、重大な問題があると言わざるを得ません。

国際条約違反は、憲法違反です。子どもの権利条約で認められた子どもの意思表明の権利を認めないなんで明らかに子どもの権利条約違反です。

従って、「最高裁は日本国憲法を正しく運用していない」という結論に至ります。札幌高裁の佐藤道明裁判長にしても、最高裁の櫻井龍子裁判長にしても法治国家の裁判長としての良心はどこに行ったのでしょう?良心あるんだったら21年間も放置せずに憲法77条に基づいて規則制定しなさい。良心ないのであれば、退場してください。法治国家の裁判長としてふさわしくありません。

4.このような現状に対する子どもの人権委員会(東京弁護士会)の対応

東京弁護士会の人権委員会にこの結果を持って相談に行きましたが、子どもの人権弁護士と称する女性弁護士2人が出てきて、「国内担保法がないから、子どもの権利条約は実行できないんです。」のような開き直りとも取れる発言をしていました。 ウィーン条約法条約26条及び27条に26条「効力を有するすべてのの条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない。」、27条「国際条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することはできない」と書いてあるので、このような発言は成立しないことは明白です。また子どもの人権委員と自ら標榜するのであれば、子どもの権利条約は今から21年前の1994年に効力が発生しているわけですから、21年間もほったらかしにしないで国会に働きかけるように動くべきです。「国内法がないから子どもの条約機能しなくていい」これは「人権弁護士の思考停止」といわれても仕方がないと思います。自分たちは子どもの人権を守っているつもりでも、はたから見たらまたここにも司法のダブルスタンダードがと思ってしまいます。

子どもの権利条約は、いろんなところに掲載されています。たとえば中学校の公民の教科書とか、ユニセフのWebサイトとかです。子どもの権利条約については、「子どもの意思表面の機会は与えられる」と明確にどもにでも書いてあります。そうすると事情を知らない方々は、「ふーん、そうかあ。ちゃんと子どもが意思を表明する機会はあたえられているんだなあ」と納得しますが、現実には違います。札幌高裁佐藤道明裁判長、最高裁櫻井龍子裁判長の文書を見てください。自分の立場や既得権益ばかり気にして、こんな悪質な裁判長に自分の職をかけてでもNoと言える気骨のある裁判官は司法界にはいないのか?チキン裁判官ばかり揃ってる日本の司法界。

対外的には、国際条約守るように見せかけておいて、実際の運用では守らない。極めて悪質と思います。日本の司法が得意とする「ダブルスタンダード」です。

また別の機会に書きたいと思っていますが、2014年に批准したハーグ条約についても批准はしたけれど現実にはハーグ条約の主旨が活かされていないということになるのではと懸念しています。こんな憲法の拡大解釈をする国もめずらしい。日本には、ドイツのように憲法裁判所がないので、日本においては「憲法判断だけを求める訴訟の提起は、たとえその訴えの内容が重大な憲法問題に関連するもので、なおかつ違憲状態が確認できたとしても、現行の訴訟制度では、その受理は認められない。」ということになる(文献)。「一票の格差問題」これは憲法違反と判断されましたが、違憲状態で行われた選挙結果は無効ではありません。自衛隊と憲法9条の問題、今回の集団的安全保障体制の問題。これらの憲法違反は憲法学者が指摘した通りです。憲法を拡大解釈する伝統があり、違憲状態であっても不問にされる-この考え方は極めて危険であると思います。憲法改憲だとか擁護だとかの議論する前に、憲法を厳密に運用して欲しいです。今のように拡大解釈し続けると歯止めが効かなくなると思いますね。

私に言わせれば、日本の司法は不十分かつ不完全なのです。憲法裁判所もないし「司法の独立」に守られているので自浄作用もない。
こういう不完全さが、憲法の拡大解釈、裁判所が隠ぺい報告書を作成する土壌を形成しているように感じます。
この隠ぺい報告書についてはこちらに詳しく書きました。

現役家裁調査官が隠ぺいした調査官調査報告書。こんな隠ぺい言語道断。家裁はこのようなメンタリティを持っていると思うとぞっとする。でもこれが家裁の実態。

現役家裁調査官が隠ぺいした調査官調査報告書。こんな隠ぺい言語道断。家裁はこのようなメンタリティを持っていると思うとぞっとする。でもこれが家裁の実態。

5.子どもの権利条約の恣意的な運用

前章までで子どもの権利条約について最高裁の不正な運用を指摘しました。本章では、司法の子どもの権利条約の恣意的な運用について述べます。

先日、ふぁぼセミナー参加者と子どもの権利条約と子どもの代理人制度について議論をしていた時のことです。驚くべきことがわかりました。まさに子どもの意思表明の権利が司法により恣意的に運用されていることを示すものです。こんな事実があるので、裁判所はやはり「親子引き離しの機関である」であると非難されてもしょうがないと思います。では詳しく見てみます。そのセミナー参加者のことを参加者Aさん(男性)と呼ぶことにします。

私の長男のケースでは、長男は父親である私のところに居たいという気持ちを表明したいという意思表示がありました。

参加者Aさんのケースでは、娘さんです。娘さんは母親からの強い影響を受けて片親疎外になり、父である参加者Aさんとは会いたくないと表面的には言っていました。

この状況で、私の長男の意思表明は認められず、逆に Aさんの娘さんからは意見の聴取が行われました。

子供の権利条約12条において認められている意思形成能力のある子ども(私の長男)の意思表明については、認められす、逆に片親疎外を発症し意思形成能力がない子ども(Aさんの娘さん)に対して意見聴取を行うという裁判官の独善にもとずく法律の恣意的運用が行われています。

家族の再生を申し出たうちの長男には意思表明権を与えず、片親阻害の影響を受けたために参加者Aさんのところには戻りたくないとの意思を表明しようとしたAさんの娘さんには意思表明の機会を与える。これは、家族を解体することに他ならないでしょう。このような事実があるから、裁判所は「家族の解体機関」と揶揄されるのです。自業自得です。全く恣意的な運用です。

裁判所は、「児童の権利に関する条約」及び「児童福祉法等の一部を改正する法律案」で明確に定められた規定、

児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」

を守ってください。現状では、守られていません。従って、日本国憲法98条違反です。

札幌高裁、最高裁は憲法違反やめてください。!

日本の司法が子どもの権利条約を守らず、日本国憲法違反をしていると思われたら、本ページ上部よりリツイートお願いいたします。また本件についての取材もお受けします(英語対応可能)。お問い合わせ・取材のお申し込みはこちらから。

長文お読みくださいましてありがとうございます。

 

子どもの意思表明権認めなかった日本の司法」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 子どもの連れ去り容認、面会交流を遅延・妨害する弁護士の恐ろしい実態 | 親子の絆を再生しよう!(平成28年4月NPO法人化予定)

  2. ピンバック: 【拡散希望】「面会交流は別居親の権利」と示す判例(12例) | NPO法人親子の絆を再生しよう

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