親に会えなくなる子どもの数 年間約16万人の根拠の考察 〜 単独親権との関係

当法人に、親に会えなくなる子どもの数 年間約16万人の根拠について教えてくださいとの問い合わせがありました。
統計を調べてみても、見当たらないので、以下近似計算を行ってみました。
後半は、親権制度について、個人の体験も交えて書きました。

ちなみに、筆者は、一度は、最高裁で負けましたが、その後最高裁判決を覆して親権・監護権が認められた父親です。
親権者・監護権者ですが、後述の理由により、共同親権の導入が必要と考えています。

では、簡単な近似計算を行ってみます。

    (毎年離婚する夫婦の総数)= 240000組/年 ← これは統計データに記載がある

このうち、もともと子供がいないまたは既に子どもが成人してしまった夫婦の割合を20%と想定すると

    (未成年の子供がいる夫婦の総数)= 2400000×0.8 = 192000組/年 

この夫婦には、子どもの数が1人、2人、3人・・・いるが、
平均的に1組当たり1.5人の子供がいると仮定すると、

    (親の離婚を経験する子どもの数)= 192000×1.5 = 288000人/年

このうち40%くらいは親に会える(つまり60%は親に会えない)とすると、

    (親に会えない子どもの数)= 288000×0.6 = 172000人/年

つまり年間約17万人くらいの子どもたちが親と面会できなくなるという結果が得られます。
報道などでは、年間約16万人と報じられています。

もちろんこれは、近似計算の結果で誤差もあり、毎年の変動もあると思いますが、そう大きくは外していないと思います。
毎年、17万人近い子どもたちが親に会えなくなる。非常に驚くべき数字です。

なぜこんなにも多くの子どもたちが親に会えなくなるのか?

その理由ははっきり言って、

    ・日本が単独親権を採用しているから
    ・面会交流に強制力がないから

です。

単独親権を採用している国は、G7の中では日本だけです。
世界の他の国では、共同親権制度が主流です。
共同親権下では、子どもに会えないということは、ほぼ発生しないと考えます。

上述の命題「共同親権下では、子どもに会えないということは、ほぼ発生しない」は真であるとします。
この命題の対偶を考えると、

     「子どもに会えないことが起こるのは、共同親権下でない(つまり単独親権)」

となります。命題が真であれば、その対偶もまた真です。

近似計算をしたので、面会交流について少し統計的に考えてみます。

17万人もの事例があれば、統計的に正規分布に従うと考えてよいでしょう。
個別のケースでは、親と面会させてはいけないケースもあるでしょう。仮に3σの99.7%を採用して計算すると17万件のうち約510件程度となります。
つまり17万人のうちのほとんどは面会させても問題ないケースだと思われます。

問題は、この大多数をしめる「面会させても問題ないケース」であっても、問題があるケースとひと括りにして一人の親としての権利を認めず、片方の親に全権利を与えてしまう、つまり単独親権制度です。明らかに親権の不当な制限と言えるでしょう。これについては、単独親権が憲法に反するとして裁判が起こされました。

子どもが親と定期的かつ友好的に会う権利は、子どもの権利条約第9条で定められています。面会交流は子どもの権利であることは明白です。

ですが、子どもが小さいうちは、別居親に会いたいなどと意思表示ができません。
意思表示できるのは、10歳ごろからとされています。

一方、親の方から面会したいと申し出る場合はどうでしょうか?
面会交流について裁判所で合意が形成されても、面会交流不履行になってしまう例が後を絶ちません。
要するに、相手方がゴネれば面会交流できなくなるということです。
統計的には、ほとんどの親が面会させても支障はないと結論付けられるのに、面会交流に強制力がないから、こういうことが起こります。
裁判所は何を考えているのでしょうか?
詳細は、当ブログ「双方主張の違いが大きく、履行勧告では限界があるという理由で面会交流しない家裁調査官の詭弁」を参照してください。

双方主張の違いが大きいという利理由で、面会交流しない家裁調査官の詭弁。結局、相手方がゴネたら面会交流はできないという証拠

ちなみに、このケースでは、裁判所は面会交流の履行勧告は終了と結論付けましたが、その後子どもたちは自力で父親(筆者)のところに帰ってきました。裁判所は子どもの気持ちを理解しておらず、子どもの利益と福祉を犠牲にしていました。

面会交流には強制力がない - この問題を解消するため、現在、面会交流は親の権利でもあることを争点として立法不作為裁判(原告14名。筆者も原告の1人)も行われています。

つまり、


    面会交流は子どもの権利である。 ← これは明確に法律で定められている
    面会交流は親の権利でもある。  ← これは議論があって、現在裁判中

面会交流は親の権利と法律で定められていない現状では、

    ・子どもが小さい時
    ・子どもが同居親に気兼ねして、別居親に会いたいと言えない時

ほとんどのケースでは、同居親が面会交流に積極的でないでしょうから、上記の場合、面会交流が出来なくなることが十分起こりえます。

親に会えないということは子どもにとってトラウマになるケースもあり得ます。
今の日本では、子どもの権利条約第9条があっても、子どもたちを救済する方法がありません。
単独親権制度が採用されているからです。

個人的には、離婚後は、親も子も、お互いの事は忘れて、新しい人生を歩んだ方がいいという明治時代の考えが残っているせいだと思います。
私自身も面会交流調停中に、地元の名士と言われる家裁の調停員から「子どものことは忘れて新しい人生を歩んだ方が良いのではないか?」と言われました。とんでもない発言で、これは子どもにお父さんのことは忘れなさいと言っていることと等価です。児童虐待といってもよいでしょう。

今やイクメンという言葉も市民権を得て、男女共同参画、男性の育休の取得率も増加しているときに、何寝言言ってんだという感じです。

17万人の子どもを救うには、ぜひとも共同親権の導入が必要です。
かつてはドイツでも単独親権でした。
法務省も共同親権制度の可否についての研究会を立ち上げました。
共同親権制度に向けてのカウントダウンが始まったと思います。
共同親権制度に移行するのは、歴史の必然と感じています。