家族法研究会の最終報告書

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家族法研究会にて、養育費・面会交流について議論なされてきました。
家族法研究会の公式サイトがあり、議事録や資料などが掲載されています。

家族法研究会は、令和元年11月15日の第1回会合から令和3年2月9日の第14回会合まで合計14回開催されました。

第14回会合の議事録によると、「本日の議論を踏まえ,資料13の内容を一部見直したものをもって本研究会の報告書
とすることとし,最終的な取りまとめと取扱いは,座長に一任することとされた。
」となっています。

見直し前の資料13はコチラに公開されています。

面会交流については、資料13の70頁11行目に記載があります。次の2つについて提案がなされています。
(#番号) は当団体のコメントです。

(1)面会交流の性質

面会交流に関し,その法的性質を明示する規律を設けることについて,更に検討を進めてはどうか(#1~#3)。
その際には,面会交流について,誰の誰に対する権利又は義務として規律を設けるべきかを整理した上で,例えば,父母間の取決め等により具体的な面会交流の内容が定まった場合には,非監護親の監護親に対する一定の請求権として規律した上で,その権利は子の利益のために行使しなければならないとするような規律を設けることについて,検討してはどうか(#4)。

(#1)この表現から、面会交流に関し、その法的性質を明示する規律が存在していないことは明らかです。 
(#2)面会交流立法不作為裁判において、被告(国)も、「(面会交流権は)誰の誰に対する権利または義務なのか不明」という言い方をしていました。法律がないから、いつまでたってもあいまいなままです。司法(裁判所)と研究会の間で問題を指摘しあっているだけで、いつまでたっても進歩しません。面会交流の法的性質を明示する法律が存在していないことは共通認識だから、諸外国のようにはやく立法しましょう。
(#3) 面会交流立法不作為裁判では、最高裁判所は、原告の主張(=面会交流は、別居親の権利)ことを認めませんでした(資料)。
(#4) 既に最高裁にて、間接強制が出来る場合とできない場合を判示しています(資料 引用:安田法律事務所)

(2)面会交流を求めることができる者の範囲

ア 養子縁組後の実親
子について養子縁組がされた後の,実親と子との面会交流に関する規律を設けることについて,更に検討を進めてはどうか。

イ 親以外の親族
親以外の親族(祖父母等)と子との面会交流に関する規律を設けることについて,更に検討を進めてはどうか(#1,2)。

(#1) フランスなど諸外国では、親以外の親族の面会交流権についてもきちんと定義されています。
(#2) 自由面会交流権訴訟 第三回期日原告準備書面(1)3頁11行目に「親と子の面会交流権は,さらには祖父母と孫との面会交流権は,それぞれにとっての基本的人権である。それは,諸外国において肯定され,諸外国の立法において明記されていることである。」

補足説明(71頁13行)には、次のような提案も書かれています。

面会交流については,父母間の協議又は家庭裁判所の審判等によって具体的な内容のものとなった後は,非監護親から監護親に対する権利として,強制執行をすることができる権利となるのであるから(#1),むしろそれを前提に,非監護親の権利と位置付けた上で,子の利益のために行使されなければならないことを明示するような規律を設けた方がよいとの考え方もあり得る(#2)。

(#1) 審判後、具体的な内容のものとなった後も、同居親が拒否すれば、面会交流はできません(実例はコチラ)。
(#2) 考え方もあり得ると指摘するだけでは不十分で、今は、そのような規律を設けるように期限を区切って審議していく時期にあると思います。

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